8月26日(水)-27(木)に、和歌山県田辺市にある和歌山大学南紀サテライトで開催された、第86回人工知能学会知識ベースシステム研究会(SIG-KBS)に参加し、研究発表を行った。KBS研究会の存在は知っていたが、発表もちろんのこと参加するのも初めてだった。私だけではなく、M2の学生(石田悠君)も発表した。白浜にあるので、これは幸い(宿泊して温泉につかれるとか魚介類が食べられるとか)と思い、発表することになったのだが、大学の用務がはいっていることが後でわかり、研究会参加だけの日帰りの出張となった。場所は、和歌山県立情報交流センター (ビッグ・ユー)という設備の中にあった。
石田君は、研究会でのプレゼンが初めてなので、原稿提出だけではなく、スライド作成でも、何度チェックした。正直言うと、修士の学生の場合、私の方で原稿やスライドを作成した方が本当は時間の節約になることが多い。ただ、それでは本人のためにはならない。研究発表で、聞く側がわかるように発表するために何を言うか、どのように見せるかを考えることは、本人にとって勉強になる。学者にならなくても、企業にはいってから役に立つ。工学部や理学部の他の学科では、プレゼンの訓練を相当やっているようである。数学の場合、黒板で式を書いて伝えるというスタイルが主流である。それと、成果を出すことが他の学問よりしきいが高いので、修士在学中に研究成果を外部で発表するような機会は少ないようである。私は、博士に進まなくても、成果があまり芳しくない場合でも、発表させている。
当日は、5件の発表があった。まず、和歌山大学の瀧先生という方の招待講演で始まった。遠方から参加する人もいるので、開催地を代表する偉い人が招待講演をして始まる、というのはよくある慣習である。その次の2件は、瀧先生の学生もしくは門下の若い人の発表であった。私と石田君の発表が、最後の2件であった。数学的に証明している結果で、突っ込んだ質問はないかと思われた(KBSは、どちらかといえば、応用研究を志向する研究会である)。ただ、思いの他よく理解していただいて、なるほどというコメントをいただいた。10名ほどしか参加者がいなかったのだが、真剣勝負の雰囲気がみなぎっていた。我々にとって、KBSは初参加であり、むしろ他流試合であった。ガチンコの議論は、歓迎の挨拶であったのかもしれない。今回の研究会の参加は、大変有意義であった。
幹事をつとめられた阪大産研(沼尾研究室)の森山先生や参加して議論していただいた方々に御礼申し上げたい。
8月26日(水)
13:00-14:00 【招待講演】
知識情報処理システムの近未来
瀧 寛和(和歌山大学)
— 休憩(10分) —
14:10-15:10 【SIG-KBS 一般】
「道路状況の変動を考慮した走行経路の計画」
○芦田 昌也,瀧 寛和(和歌山大学)
「事例を利用した力覚情報のリアルタイム補間方式」
○土岐 崇之,瀧 寛和,三浦 浩一,松田 憲幸,曽我 真人(和歌山大学),安部 憲広(九州工業大学)
— 休憩(10分) —
15:20-16:20 【SIG-KBS 学習】
「ガウス型ベイジアンネットワークの構造学習の一致性について」
○鈴木 譲(大阪大学)
「データマイニングのためのChow-Liuアルゴリズムの一般化について」
○石田 悠,鈴木 譲(大阪大学)